2021 12/11(土)~12/24(金)
会場:花森書林
13:00~19:00(最終日~17:00)火・水休み
高濱浩子個展「でぃだらぼっち」
「でぃだらぼっち」 とは、日本各地で伝承されてきた巨人のことです。
ダイダラボッチ、だいだら坊など場所によって呼び名が変わるそうで、映画「もののけ姫」に登場することで知っている方も多いようです。
私がでぃだらぼっちを描き始めたきっかけは、「民話と演劇 この世界をもう一度紡ぎなおすための物語」 (フィリピン環境NGOコーディリエラ・グリーン・ネットワーク) というプロジェクトで、信州上田の民話 「でぃだらぼっちと後家さん」 の挿絵を描くことになったからでした。
「昔々、西から雲をつくような大男が、背中に夫神岳を背負い、両手に女神岳を抱いてやってきて、山を置くと南へ去っていった。 ・・・その集落に住む貧乏な後家さんは荒地を耕して蕎麦畑にしようと毎日一生懸命に土を耕したが翌朝になると固い地面に戻っている。それでも真面目で信心深い後家さんは近くのお不動さんを拝み、毎日一生懸命に耕した。 ・・・すると夢の中にでぃだらぼっちが現れ、「その土地はおれの左足の足跡だからいくら耕しても柔らかくはならない。でもお前は真面目ないい人だから地面を柔らかくしてやろう。その代わり蕎麦とれたら必ず蕎麦食わせろ」 と言って・・・」 と話は続き、翌日にはふかふかした土地に変わり、後家さんはでぃだらぼっちとの約束を守り生活は楽になっていきす。
https://www.youtube.com/watch?v=srkJNnbXsFw
「でぃだらぼっち」 とは何なのでしょうか?
私は阪神大震災の体験を思い出しました。 グラグラと揺れる大地の上で、ただどうしようもなく、死に震え南無阿弥陀仏と唱えていました。 あの時に感じた大きなもの、人間も含め全てに生も死も与えるもの、そのうねりは災害も疫病ももたらし、生死も陰陽も一つとするもの。 昔の人は解明できない宇宙を 「でぃだらぼっち」 という巨人に例えて語ったのかもしれません。
それを絵にするのにはどうしたものか?と考えて、火や水、風や土や空を生み、本当は形などない変幻自在な 「でぃだらぼっち」 を粒子で描くことにしました。
そのうち 「でぃだらぼっち」 は、私たち自身の一部ではないかと思いはじめました。
髙濱浩子(たかはま ひろこ)
画家
1969年神戸生まれ。
1991年より展覧会など活動を始める。1995年25歳の時、阪神大震災を体験したことで「命とアート」について考え始め、2008年、詩人ラビンドラナート・タゴールの思想を学びにインドへ留学。2012年サグラダファミリア贖罪聖堂主任彫刻家外尾悦郎氏に学ぶ。
自身の絵画制作のほか、雑誌への寄稿や、環境教育、コミュニケーション、病院でのトラウマインフォームドケアなどでアートプログラムのファシリテーターを務める。
神戸在住
https://hirokoaqua.wixsite.com/website